110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

日本における食品の安全性確保に関する資料

 今回のWTOの処分を受けて福島原発原発後の食品に関して調べてみた。
 できれば、WTOに提示した日本側の資料が見たかったのだが(多分公開されているだろうが)、もしかして英文だったりするので変わりを探した。
 そうすると、農林水産省のHPに「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う諸外国・地域の輸入規制への対応」というのがあり、
 http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/hukushima_kakukokukensa.html
 「2.日本における食品の安全性確保に関する資料」に、日本語版がある(公開されているのは2016年までの資料のようだ)。

 なるほど、安全性の取り組みは分かった、「科学的」といえるかどうかは解釈の違いもあろうが、事実を伝える姿勢は分かった。

 この資料をもとに、ひとりの日本人として疑問に思ったことは、PDFファイルで提供されている分割2にある「食品モニタリング結果」で、ここでは冒頭に…
 「2015年4月~2016年3月の基準超過は291件(0.09%)」
 「2013年は0.32%、2014年は0.18%と、年々減少傾向。(2012年は0.86%)」
 と結果を評価している。

 しかし、この表を見ると、ただ一つ異常に基準値を超えている項目がある「野生鳥獣肉」の項目だ。
 サンプル数は764件と少ないのだが、基準値超過件数が167件(21.86%)と突出して高いのだ、先の291件の超過数に対して半数以上がこの項目なのだ。

 しかし、統計ではこれらのサンプル数を全て合算したうえで上記の見解を出している。

 まぁ、そういう解釈もあるだろうけれどもね、統計は集計の仕方だからね(恣意的なもの)。
 でも、心配だよね、多分、農林水産省の方に問い合わせると「大丈夫ですよ」的な説明があるのだろうけれども、明らかに異常な割合については、資料に「注釈」をつけないと誤解を生むはず。
 もし、この程度の資料をWTOに出したのならば、私でも差し戻すかもしれないからね。
 この資料からは、ある特定の品目が異常に放射線値が高いことがわかる。
 すなわち、何らかの条件のもとに異常な放射線値を示す可能性があることを否定できない。
 それは、例えば、原発の周辺の立ち入り禁止地域の生態系を調べる目的でサンプルしたものかも知れない。
 しかし、それでも、危険性があることに変わりはないように思うのだが…

 WTOよりも、この資料の方が心配になった。
 一部、避難解除になるらしいが、WTOのいさかいなんかより、国民の健康の方が大切だと思う。