110円の知性

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その後のWTO関連…忘備録

水産物輸入禁止「復興努力に水差す」 WTO会合で政府、上級委の判断に抗議
4/27(土) 0:11配信 産経新聞
 世界貿易機関WTO)の紛争処理機関の会合が26日、ジュネーブで開かれ、伊原純一駐ジュネーブ国際機関政府代表部大使は、韓国による福島など8県産水産物輸入禁止措置をめぐる日本の主張をWTOの上級委員会が退けたことに対し「被災地の復興の努力に水を差す。極めて残念だ」と抗議した。
 会合は非公開で開かれ、韓国のほか米国、中国など164の加盟国・地域が参加した。
 上級委員会は11日、東京電力福島第1原発事故を理由とする韓国の禁輸措置を不当とした「1審」の紛争処理小委員会(パネル)の判断を破棄する報告書を出した。上級委が判断を示して以降、日本政府がWTOの会合で公式に意見表明したのは初めて。
 外務省によると、伊原氏は、上級委の報告書について「明確な科学的根拠から導かれたパネルの判断を軽視している」と述べた上で、韓国の輸入規制がWTO違反かどうかの判断をしなかった点を問題視した。
 伊原氏はさらに、上級委が「紛争解決に資するものとなっていない」とも批判し、今後、上級委のあり方について、WTOで議論する必要性も訴えた。WTOの紛争解決制度をめぐっては、安倍晋三首相も改革に強い意欲を示している。
 会合では、上級委の判断を盛り込んだ報告書を討議後に採択した。二審制で再審制度もないため、この判断が確定となる。

河野外相、WTO判断めぐり朝日新聞に抗議
4/24(水) 0:28配信 産経新聞
 河野太郎外相は23日の記者会見で、韓国による福島など8県産水産物輸入禁止措置をめぐる世界貿易機関WTO)上級委員会の判断に関し「朝日新聞だったかが、やや正確性を欠く記事があって、日本産食品の安全性に疑念を抱かせかねないものがあった」と述べ、朝日に抗議した。
 政府は、日本産食品が科学的に安全で、韓国の安全基準を十分クリアするとの紛争処理小委員会(パネル)の認定が上級委員会の報告書で維持されていると説明している。「最終審」の上級委員会に先立つパネルは第1審にあたる。
 朝日は23日付朝刊1面に「政府説明、WTO判断と乖離(かいり)」の見出し記事を掲載し、「日本政府が第一審の判断を根拠に説明している『日本産食品の科学的安全性は認められた』との記載が第一審の判決文にあたる報告書にないことがわかった」などと報じた。
 河野氏はパネルの報告書について「わが国が適切な基準値の設定、モニタリングと適切な出荷制限管理により安全性を確保し、食品中の放射性セシウムの濃度が日本と韓国の基準値を下回ることを認めている」と反論した。
 さらに「上級委員会の報告書には、上訴されていないパネルによる事実関係の評価について意見を述べないことが明確にうたわれている」とも強調した。
 河野氏は「きちんとした報道をしてもらい、日本産食品の安全性に誤った疑念が想起されないよう厳にお願いしたい」と注文を付けた。
 これに対し、朝日記者は質問の中で「科学的に日本の食品の安全が認められた」との表現に関する認識をただしたが、河野氏は「パネルの報告書の文言を読んでもらえれば、日本産食品は科学的に安全であると、科学的な知識のある方は当然に理解できる」と譲らなかった。

WTO会合で日本敗訴に疑問の声 「紛争処理制度に問題」
4/27(土) 8:15配信 共同通信
 【ジュネーブ共同】韓国による日本産水産物の輸入規制を巡り、世界貿易機関WTO)の紛争処理の「最終審」に当たる上級委員会が日本の主張を退けたことについて、WTOで26日開かれた会合では、各国から「これでは紛争の解決にならない」と疑問視する声が相次いだ。WTOの紛争処理制度の問題点を指摘する意見も多く出た。
 通商筋によると、会合で「第三国」として意見を表明したのは、米国、欧州連合EU)、カナダ、中国、ブラジルなど10カ国・地域。米国は「一審」の紛争処理小委員会が日本の言い分をおおむね認めたのに、上級委で逆転敗訴となったことへの疑念を示した。

 今まで報道関係の記事を追ってきたが、実は「外務省」が報告を出している、これが政府見解としては公式と考えてよかろう。
 パネルに出した「報告書」も読んでみようかと思う。
 現行ではこの裁定は覆らない事、そのために、政府関係ではこの制度に改定を提案することという方向性が伺える。 
 私は「科学的」という言葉が必ずしも真理ではないことを肝に銘ずるべきだと思う。 
 この報告書は未だ読んでいないが、本事件で海洋投棄した放射性物質の量などは計測不能であろうし、廃炉が、当初予定から想定外の事象で大幅に遅れている事実からして、軽々に「安全」と判断する方に疑問を持つ立場だ。
 21世紀、そして原発事故としては最悪の事件を軽々しく扱うのはいかがなものか?
 
報道発表
WTO紛争解決「韓国による日本産水産物等の輸入規制」
上級委員会報告書及びパネル報告書の採択
平成31年4月26日

メール
1 本26日(スイス時間同日),世界貿易機関WTO)紛争解決手続に基づいて,我が国が韓国に対して申立てを行っていた紛争案件「韓国による日本産水産物等の輸入規制」に関して,WTOは,紛争解決機関(DSB)会合を開催し,同会合において上級委員会報告書及び上級委員会によって一部訂正されたパネル報告書が採択されました。

2 報告書の採択に際し,伊原純一在ジュネーブ国際機関日本政府代表部大使が,以下を内容とする発言(仮訳(PDF)別ウィンドウで開く/英文(PDF)別ウィンドウで開く)を行いました。

(1)上級委員会報告書は,被災地復興の努力に大きく水をさすものであり,きわめて残念。

(2)今回の報告書において上級委員会は,(ア)明確な科学的根拠から導かれたパネルの判断を軽視するとともに,(イ)分析が十分でないとしてパネルの判断を取り消した一方,上級委として韓国による輸入規制措置の協定整合性の判断には入っておらず,問題である。

(3)上級委員会は,本事案ではパネル判断を棄却したのみで,結果として紛争解決に資するものとなっていない。こうした問題について,今後,WTO加盟国・地域とともに議論が必要。

(4)日本産食品の安全性についてのパネルの事実認定については争いがなく,我が国は輸入規制を継続している国・地域に対し,引き続き早期の措置の撤廃を求めていく。

(5)今後,(ア)不当な輸入規制の除去に向け取り組むとともに,(イ)現在行われている紛争解決制度に関する議論においても建設的に関与していく。

3 同会合では,10を上回る国から,我が国の問題提起について前向きな発言がなされました。例えば,日本は科学的根拠に基づき,韓国の措置がWTO協定に非整合的であるとの挙証責任を果たしたにもかかわらず,上級委員会が実質的な理由なく判断を覆したのは遺憾であるとの発言がありました。また,別の国からは,日本に専門家を派遣し,調査した結果,日本産食品の安全性が確認されたため,輸入規制措置を解除しており,日本産食品は安全であるとの発言がありました。

【参考】本件の経緯と概要

(1)2011年3月の東京電力(株式会社)福島第一原子力発電所における事故後,韓国は日本産水産物等への輸入規制を順次導入。更に2013年9月に輸入規制を強化した((ア)8県産水産物(注)全面輸入禁止及び(イ)追加的な放射性核種検査要求の対象を水産物を含む全ての日本産食品に拡大)。
 (注)8県:青森,岩手,宮城,福島,茨城,栃木,群馬,千葉

(2)こうした措置がWTO協定上の義務に違反しているおそれがあるため,2015年5月,我が国は韓国に対してWTO紛争解決手続に基づく協議を要請し,同年6月に協議を実施した。同年8月,我が国は,WTOにパネル設置要請を行い,翌9月パネルが設置された。

(3)2018年2月,パネルは,韓国による日本産水産物等の輸入規制措置は「衛生植物検疫措置の適用に関する協定」(SPS協定)に非整合的であると判断し,韓国に対して措置を同協定に適合させるよう勧告する報告書を公表した。

(4)WTO紛争解決制度においては,紛争当事国はパネル報告書について上級委員会に申立てをすることができる(いわゆる二審制)。2018年4月,韓国はパネルの判断を不服として上級委員会へ申立てを行った。

(5)4月11日に発出された上級委員会報告書は,パネルの判断(上記3)の一部を取り消した。

(6)上級委員会報告書は,WTO紛争解決了解の規定により,本26日開催されたWTO紛争解決機関(DSB)の会合において採択された(上級委員会報告書に関する更なる申立てはできない。また,採択においてはネガティブ・コンセンサス・ルールが適用され,会合出席国の全てが反対しない限り,報告書は採択されることとなる)。