110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

世紀の空売り(マイケル・ルイス著)

 本書は文春文庫版で読む。

 あのリーマンショックに関するノンフィクション小説。
 金融業界の崩壊を予測した人たちを追いかけたもの、彼らは、金融崩壊により大金持ちになったのだが、その後味は必ずしも良いものとは言えなかった。
 確かに、市場の不正を正しただけなのだが、それは、多くの人々を地獄へ突き落すこと、すなわち金融破綻を予測したものだったわけだ。
 件のカサンドラの逸話を彷彿とさせるものではある。
 しかし、不思議な事に、その不正をついて空売り逆張り)をして勝利を手に入れた彼らだけが金持ちなったわけではない。
 破綻した、投資銀行にも十分な金持ちになった人が多数存在する。
 そして、そのツケは、つきつまるところ、善良な一般市民(国民)に割り当てられたのだ。

 善良かどうかはさておき、一般市民(国民)の、私は、最近の日本もアメリカっぽくなってきているので、この国もそのうち「やらかす」のではないかと思ってしまうのだ。
 よくわからない「救済論」が跋扈するようになると危ない。
 その時限爆弾が爆発するのはいつか?
 それともこないのか?

 もしその日が来るならば、あの戦争を体験して、もうすぐ90歳になる母親が、亡くなった後にして欲しいな。