110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

エチカ(スピノザ著)

 この本をどう評価しよう?
 ドゥルーズの「スピノザ」にもあるように、本書は、哲学の知識が無くても読むことができる。
 当初「幾何学的秩序に従って論証された」という副題に幻惑されて「難しい」という先入観に支配されたからでもある。
 まさに、「第一種の認識に属する毀損し混乱した概念外部的な刺激による認識」というスピノザの指摘にはまってしまったわけだ。
 この、論理展開のあざやかさとともに、逆に、スピノザに対して、その論理の盲点を突こうという読み方もできるかもしれない。
 また、最後は「神」に対する知性愛に還元しているとして、ある種「宗教的」と判断して片付けてしまうという(軽率だが)対処方も考えられた。
 しかし、人間は自分の「快楽」に従って行動すれば良い、という考え方は、翻って、自分の能力を生かすことが大事とする考え方は、至って現代風な考え方だと捕らえられない事も無い。
 ただし、理性を元にするという事が、ある意味「欲望」を抑えるブレーキの役目である事が理解できないと、あらぬ方向に解釈されそうな感覚を覚えた。

 そして、本書を読んでみると、実は「エチカ」だけでは足りない事が分かる「知性改善論」など、他著作を読んで補完する必要があることが分かった。
 
 なんというのだろう、多分、二度と現れてこないような・・・ウィトゲンシュタインはどうなのかな?・・・著作なのだろうなぁ?