110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

戦争の罪を問う(カール・ヤスパース著)

 彼の「哲学入門」は、何か良くわからなかったが(ハイデッカーは評価していたようだ、と「あとがき」に書いてあった)、本書は、とても切実に読めた。
 丁度、1945年から1946年にかけての講義を書籍にまとめたもので、第二次世界大戦後、その主犯としてのドイツという国家が戦争責任に問われている最中における、緊張感が伺える。
 本書では、責任について、一般的な「刑法上」「政治上」の責任と、あくまで、私的な、もしくは、外部的には罰せられない「道徳的」「形而上的」責任とがる事を指摘している。
 さて、これに対して、昨今の「憲法改正」について考えてみると、これが、戦後すぐには実現しなかったのは、この分類で考えると、後者の「道徳的」な問題が強かったように思う。
 逆に、最近、この議論が急がれるのは、前者、言葉を代えると「理性的」な面での論議に論点を「極小化」した上で展開しているから可能な様に思う。
 (それでも大半の人が認めているのは時代の変遷であろうか?)

 その是非については諸説あろうが、過去の事と割り切る事らずに、その原点について、私的に。少し考えてみると良いかなと思った。