110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

7月に読んだその他の本

 先月やりはじめて、個人的におもしろがっているのが、これです。
 自分としては、公表するほど読み込めなかったり、ちょっと恥ずかしかったりした本です。

 1.知性改善論(スピノザ著)
 著作自体は薄いので、読んだふりはできるのですが、エチカに通ずる根本思想の部分が書かれているということで難しいです。また、途中で終了していますので、ここでの御紹介。

 2.人は何で生きるのか(トルストイ民話集)
 昔、手に入れた本を整理していたら出てきたので再読する。少し前には、純粋な信仰が残っていたのです。これも「失ったモノ」と「その代わりに得たモノ」を考えさせてくれます。

 3.最終講義(中井久夫著)
 浅田彰氏の「逃走論」を読んでいたらこの人の著作が参照されていた。その後、古本屋に行ったら、手頃な価格で入手できたのがこの本。
 本書は紹介しようと思ったが何故かこの項目へ、ここでは、例外的に引用したいなと思うのが、以下の部分。
 私が微分回路と積分回路との特性を初めて知ったのは・・・佐貫亦男(東大・日大航空工学教授)の航空計器について書かれたものによってであったと記憶する・・・。
 私は一読して、分裂病親和者の行動特性と微分回路と、うつ病親和者の行動特性と積分回路とがそれぞれ実に似ているのに強烈な印象を受けた。微分回路の先取り性、きめこまかな変化を認知するが、無理に増幅するとグロテスクになる不安定性など、一つ一つが危機の時の分裂病親和者その人の行動特性をみるような思いである。・・・
 浅田氏の「逃走論」での「スキゾ・キッズ」なる言葉が、少し、くだけすぎた表現かと思い込んでしまったのだが、本書を読んでみて、なるほどと思ってしまった。
 現代は分裂症的な社会だと言う人がいるが、そういう目でみるとそのとおりだと思う。
 折しも、今回の選挙のでの民主党の躍進、自民党の敗北は、ある時点での方向が、まったく違う方向を向いてしまうという、微分的、分裂症的な動きと符合するよう見える。
 さて、微分的国民性の今後の展開やいかに・・・?

 4.キリスト教邪教です!(現代語版「アンチクリスト(ニーチェ)」・・・適菜収訳)
 難解な哲学書をやさしく読めるようにした本書は意外に版を重ねていた、これも以前に入手していたものを整理していた時に出てきたので、再読する。
 2005年ごろの本なので、丁度、アメリカのブッシュ大統領批判として出してきたようだ。
 で、「本当にこんな内容かぁ」と思って、普通の「反キリスト者」を読んでから、コメントしようと思って途中まで読んで・・・時間が過ぎてしまった。
 それまでの印象としては、意外に、上手に訳せていると思った。
 しかし、この手の本は、読む前にそれなりの前提が必要ではないかと思った、冒頭にも「少数の人しか理解できない」と書かれているものを、普遍的な時事問題を背景に、読ませる事はすこし批判したいところだ。
 ただ、読者もそれなりの知識が必要だという事を理解して読んだならば、良い啓蒙書であるのかもしれない(本書の後ニーチェを愛読したなど、皆無ではないかもしれない?)。

 5.こころの旅(神谷恵美子著)
 神谷さん著作は、言うことがありません。
 今は、古本で安く入手できますので、機会があると買ってしまいます。
 本書は、読書についても書かれていますが、その幅と深さには脱帽です。

 このようなところでしょうか。