110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

ローマ世界の終焉(塩野七生著)

 ローマ人の物語の最終巻を読む。
 思い起こせば、1年程前から始めた「再読書」のきっかけは、ローマ人の物語の文庫本からだった。
 程なく、文庫本では全巻読めないことがわかり、単行本へと移り、14巻まで読み終えていた。
 そして、昨年末に、15巻目(最終巻)である本書が出た、しかし、何故かすぐ手が出なかった。
 ローマ帝国の没落がとまらなくなって、前巻から、読みきれなくなった事もある。

 しかし、昨年の夏から始まった読書の(ある意味)節目という感じで、本書を読んだ。

 いくつかの疑問に本書は答えてくれた。
 なぜ、ローマ帝国の滅亡は1453年でなくて、西ローマ帝国の滅亡(消滅の方が近いかもしれない)の476年なのか?
 全編を通してみると、共和制ローマよりも、帝政ローマに好意的な感じがしたがそれはなぜなのか?

 そして「諸行無常」と言われるとおり、ローマ帝国の衰退は、その栄華を誇った時期からは比べるべくもなく悲惨な様相を呈している。
 それは、メッキが剥がれる如く、ローマ帝国を構成していたものが、ひとつひとつ剥がれ落ちていく過程であり、その行く末は、自立することさえできなくなるという、極限的な状態になる。

 さて、そういう衰退は、防げたものなのであろうか?

 多分「延命」はできたが、防ぐことはできないのでないだろうかと思う。

 歴史は、個別の様相を示すものだが、たくさんの教訓を含んでいるものだと思う。