110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

社会心理学入門(我妻洋著)

 本書は1981年一粒社から「社会心理学諸説案内」として刊行されたものが、講談社学術文庫で上記題名に変更されたものを読んだ。

 本書は、文庫判では上下に分かれているのだが、その間におよそ一ヶ月の間隔があり、上巻は記憶のかなたに飛んでしまった。
 
 うつろな記憶の中では、ゲシュタルト心理学フロイト精神分析など心理学的な手法を使いながら、社会状況を分析していくものだと短絡的に考えていた。
 ところが、我妻氏は「社会心理学」について、ロージャー・ブラウンの「社会諸科学の研究成果を援用する心理学が、有効に研究をつづけるトピックの集まり」という記述を引用している。
 そう、様々な心理学的手法を、社会と関係について様々に研究するということであろうか?
 Webで検索すると、「日本社会心理学会(http://wwwsoc.nii.ac.jp/jssp/index.html)」なるものがあり、論文のテーマなど見ていると面白そうなものも散見される。
 素人は、ただただ、面白そうで良いのだろうが、研究となるとそうもいかないのだろう。
 
 さて、本書の内容については、あとがきの土居建郎氏の指摘のとおりに大変面白く読める。
 現在の社会心理学と、1980年代のそれとはどの程度違うのか興味があるが(例えば、精神分析などの手法の心理学での位置付けの変遷など)、その基礎を知るには良い題材だと思われる。
 
 人間は、社会というものに受動的、能動的に影響を受けている。
 そういう面で「社会心理学」というジャンル(言葉)を知ったことで、少し幸せな気分になった。