110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

線文字Bの解読(J.チャドウィック著)

 本書はみすず書房刊行1976年刊行の第2版。

 クレタ島の国王ミノスによる文明をミノア文明と名付けるとする学説があるようだ、名前だけは、私も聞いたことがある、ミノタウロス(牛頭人身の怪物)の伝説もここから出てくる。
 イギリスの学者、アーサー・エヴァンスはクレタ島を訪れ、そこで出土品に描かれている文字を、ミノア文字と命名した。
 これは、3つに分類され、
 紀元前2000年~1600年までを「象形文字」が使用された時代。
 紀元前1750年~1450年までを「線文字A」が使用された時代。
 そして、時代の特定できないある時期を境に、「線文字A」は「線文字B」に変わったのだ。
 本書は、その「線文字B」の解読について記されている。
 ちなみに、そのミノア文明は、紀元前1400年頃最盛期を迎えるが、その後、突然と歴史から姿を消しているとある。 

 例えば、現存する言語、日本語もそうだが、昔の言葉が現在も理解することができるかどうかは、甚だ怪しい。
 そういう面で考えると、この「線文字B」の解読というものが、ロゼットストーンのように、複数の言葉で対比できるものもなく、それぞれの基本となる文字(アルファベット)の並び方を分析するという方法は、大変な労力の上で可能なことである。
 
 既に3000年以上の出来事の一片が、ここに解読されたわけだ。
 しかし、その当時は日常的なメモのような内容が、今となっては想像力を働かせねば、分からないことばかりになる。
 そんな事が、何か面白いと思ってしまう。