110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

ヤマハ,エイジング処理でビンテージの音を再現したギターを発売

 ついにここまできたか。
 ちなみに、なじみの無い方へ・・・>バイオリンのストラデイバリは約400年経過して今の音が出ている、それは経年変化により、材料や塗料の化学変化によるもので、新しい楽器が同じグレードの材料で作成されても同じ音が出るというわけではないのだ。
 ただし、ステール弦を張るギターの場合は、そのテンション(張力)が強いので、120年くらいの耐久力しかないとも言われている。
 現在、MartinやGibsonという米国のメーカーの戦前(1945年以前)のものは、その状態が良ければ、普通の人が見れば驚く程の高額な値段で取引されている。
 さらに、Gibson社というメーカーは、J-200とかJ-45とかいうネーミングだが、これは、販売当初の値段であった(J-200はその当時の200ドル)そうだ・・・。
 という、余り関係ない基礎情報を踏まえて、以下の記事を読む。
ヤマハは,経年変化と同様の変化をもたらす木質改良技術「A.R.E.」(Acoustic Resonance Enhancement)を開発した。A.R.E.で処理した材料を使うことで,20~30年弾き込んだ「ビンテージ・ギター」に近い「枯れた鳴り」(同社)を得られるという。同社は,この技術で処理した木材をアコースティック・ギターの表板に使い,「L36ARE/L26ARE」シリーズとして2008年6月1日に発売する(図1)。

 A.R.E.は,温度と湿度,気圧を適正に制御することで,木材の物性を長年使い込んだギター材料と同様の状態に変化させる乾燥プロセス。通常の天然乾燥や人工乾燥工程を経て,含水率が7%程度になった木材を加工する。具体的には,木材の細胞壁を構成するセルロースとリグニン(胞壁に堆積して木質化を起こし,植物体を強固にする高分子化合物),ヘミセルロース(水に対して不溶性の多糖類)のうち,セルロースの結晶化度を増すと同時に,ヘミセルロース加水分解する(図2)。加工には,約30分を要する。

 この工程を経ることで,ヤング率が上昇して音の伝播速度が増す。ギターの表板として使った場合,(1)低域帯の伸びが増大(2)中・広域の立ち上がりレベルが向上(3)高域の減衰速度が向上----といった効果を発揮する(図3)。その音色は,ミュージシャンから「落ち着いた」「熟成された」「暖かい」「(箱)鳴りが良い」などの評価を得ているという(図4)。

 L36ARE/L26AREシリーズの表板は「エンゲルマンSP」という針葉樹を材料とし,厚さは約4.5mm。A.R.E.は,このほかの材料にも対応できる。また,ギター以外では,同じく薄い板を使うバイオリンも経年変化した音色を求めるユーザーが多い楽器だ。そのため同社は,バイオリンにもA.R.E.を適用することを検討している。だが,いずれの場合も温度や湿度,圧力の条件出しが難しく,実現には時間が掛かる見通しだ。
 ※ギター好きは「エンゲルマンSP」という記述で笑う。
  ちなみに、発音が日本式かもしれないが「イングルマンスプルース」と読む。