110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

構造と力(浅田彰著)

 1980年代に思想ブームを巻き起こした書籍、当時はとても読めなかったが、今頃読み終える。
 手元のものは、2001年第1版46刷という、この手のモノとしては空前のヒット作であろう。
 
 本書を読んでいて、今まで、ごそごそと読書をして考えていたことが、簡単に総括されたしまったという感想を持った。
 本書の刊行は1983年だから、23年間分をロスしたとも言える。
 素晴らしい、歯切れの良い文体で、重要な思想を概観できる。
 まさに、おすすめの一冊(というか、既に読まれている人の方が多いでしょう)。
 そして、奇しくも、バタイユを読んだ後の(偶然にしろ)本書の並び方。
 少し、興味を持ったアドルノはここではばっさりやられている(でも、アドルノは読みたい)。

 さて、本書には、その20年の変遷を振り返るべく、本書の続編という著作を期待する。

 デリダフーコードゥルーズ亡き後の、ポストモダニズムポスト構造主義の現状はどうなのか?
 それが知りたくてたまらない。

 カオスの影に脅かされて、とにかく走りつづける事(比喩的に)が現代(人)の状況ならば、素人考えでは、いつか疲れてその歩み(走り)を止めるのではないだろうか?・・・そんなことを考えた。
 その事象として、例えば、環境問題であったり、日本などの先進国で顕在化してきた高齢化ではないのか、しかし、全世界の均衡としてはそれを上回るように、新たに成長する国家があらわれる。
 以前、反エントロピーを促進する人類と書いたことがあるが、実は、走らされることで、エントロピーの増大を促されているのではないのだろうか?
 そういう意味では、自然とは、実に巧妙なシステムのようだ。