ニーチェについて(G・バタイユ著)
無神学大全という一連の著作の中の一つ、現代思潮社刊のものを読む。
本書を読んでみて、バタイユという人がかなり詳しく哲学書を読み解いていることが分かる。
それは、本書の表題にあるニーチェにしても、それが、かなり曲げられた編集である「力への意志」という著作の、イデオロギー的(ファシズム的)な部分を、本書では批判しているところからも伺える(実際に「力への意志」が恣意的に捏造されたことが判明したのは1950年代に入ってからだそうだ)。
本書を読んでみて、バタイユという人がかなり詳しく哲学書を読み解いていることが分かる。
それは、本書の表題にあるニーチェにしても、それが、かなり曲げられた編集である「力への意志」という著作の、イデオロギー的(ファシズム的)な部分を、本書では批判しているところからも伺える(実際に「力への意志」が恣意的に捏造されたことが判明したのは1950年代に入ってからだそうだ)。
また、訳注にあるサルトルとの対比の部分は、その判断の明晰さを感じた。
バタイユは、いわゆる神の存在を否定した、しかし、連続性、無限など人間が存在し続けられない領域、非知の領域に限りなく近づき、その体験を伝えようとする。
しかし、それは、言葉では表せないもののようだ。
本書の解説で、バタイユの文章が、最低限の文法を維持しているが、文脈は支離滅裂な部分があると指摘している。そして、それは、語ることのできない領域、そして、絶えず変化してしまい、言葉のもつ結節点にあてはめられない事象を伝えるための苦肉の策ではないのかと指摘している。
しかし、それは、言葉では表せないもののようだ。
本書の解説で、バタイユの文章が、最低限の文法を維持しているが、文脈は支離滅裂な部分があると指摘している。そして、それは、語ることのできない領域、そして、絶えず変化してしまい、言葉のもつ結節点にあてはめられない事象を伝えるための苦肉の策ではないのかと指摘している。
本書は、第二次世界大戦が終結する少し前の1944年に書き上げられている。
20世紀前半には、欧州では、大きな戦争などにより、非現実な事態が発生した、そのためかどうかの因果関係は分からないが、多数の偉大な思想家が誕生している。
バタイユもそのような重要な思想家の一人として、機会があれば読んでみたいと思う。
20世紀前半には、欧州では、大きな戦争などにより、非現実な事態が発生した、そのためかどうかの因果関係は分からないが、多数の偉大な思想家が誕生している。
バタイユもそのような重要な思想家の一人として、機会があれば読んでみたいと思う。
そして、これは、とりとめもない話だが、本書は、ある古本屋で500円で入手できてしまった。
良書がが安価に入手できたことを喜ぶべきか、悲しむべきか、複雑な心境ではある。
良書がが安価に入手できたことを喜ぶべきか、悲しむべきか、複雑な心境ではある。