110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

メルロ=ポンティ・コレクション(モーリス・メルロ=ポンティ著)

 ちくま学芸文庫版。

 身体論に興味を持ったのが、思想系の読書に深入りするきっかけでした。
 そうすると、避けて通れないのが、メルロ=ポンティだと思います。
 本書は、これから、氏の著作に取り組む入り口として考えています。

 本書では、身体論、政治論、芸術論と3つの要素に分けられると思いますが、政治や芸術に対する、文章を読むと、身体論とは異なる、氏の考え方が伺えて、興味深いところがあります。
 全体としては、解説にある「言いえないものを言うために傾ける強靭な思想的営為」という内容(コンセプト)が、その対象を変えて表現されているように思われる。
 確かに、現実に、私の「存在」それ自体が、つきつめて考えてゆくと、何かとらえどころの無いものになっていくことに気づき、それとともに、「わたし」という言葉(観念)で簡単にそのことをとらえてしまうという、不思議さ曖昧さも、常に(残念ながらそういうことはすぐ忘れてしまう)つきまとっている。
 そんなことを考えたりした。