110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

浮遊する意味

 本書は、岩波書店1990年刊行の「現代哲学の冒険」というもので、5論文と本書をイメージした写真が収められている。

 題名からして、言語学的なものが多いのかと思ったが、意外にデカルトの「われ思う・・・」という根源からの意味(懐疑)を問う論文が多かったことに興味を持った。
 (福居純氏の「懐疑と循環」、増田一夫氏の「意味のおごり 意味の危機」)
 デカルトの言う「懐疑」については、今まであまり関心を持たなかったが、本書を読んでもう一度、読み直しをしてみようかとも思う。
 もとより、言葉に関する意味の揺らぎは、ある意味当然であると思う、しかし、その不定形をどう捉えるかということに関しては、様々な考察ができるはずだと思う(思いたい)。
 たぶん、無限の時間、事象の中では、様々な思想は崩壊していくのだろうが、あくまで限られた時間の中で、(無駄かもしれないが)もがくことは、許されているのではないかと思う(・・・誰に?)。

 そんな、矛盾を含んだ状況を認識させられた、実は、面白く読ませてもらった一冊であった。