110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

貨幣論(岩井克人著)

 本書は1993年筑摩書房刊行のもの、現在はちくま学芸文庫で読める。

 そういえば、私は、経済学部出身なのですよ、30歳代は(見栄で)よくビジネス書などを読んでいました。
 そんなことを思い出しながら、久しぶりに経済系の本を読むことになりました。
 当初は、マルクス貨幣論の解説か思ったら、なんと、なかなか思想的・哲学的・抽象的な「貨幣論」で楽しく読むことができました(ビジネス書を読んでいた頃には哲学的すぎて読みきれなかったかもしれないが)。
 でも、今ある「貨幣(お金)」は、みんなが未来永劫お金が使えるという期待感で存在するという、考え方は、今までお金に関して漠然と感じていたことを上手く整理してもらった感じがします。

 ただし、ここでは、貨幣の存在価値=無限性を断ち切る要因としての「ハイパーインフレ」の存在が指摘されています。
 そして、1998年の文庫版あとがきには「現在、アメリカ経済は未曾有の繁栄を謳歌し、その主導のもとに、世界資本主義はいよいよその勢力範囲を拡大している、わたしはまさにこのようなときにこそ、資本主義の底流にある本質的な不安性について思考を進めておく必要があると思っているのである。」とあり、ご存知のように、現在のアメリカは金融不安の状態である。
 日本も大株安などの影響を受けているが、この様な、危機的な状況であるからこそ、もう一度「貨幣」について考えてみるのも良いのかもしれない(いや、良く考えるべきではないのか?)。 
 まぁ、そこいらは個人の自由という事で・・・・!!