110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

能力構築競争(藤本隆宏著)

 本書は中公新書2003年版、帯には「週間ダイタモンド2003年経済書ベスト30のうち第2位」だそうです。

 副題には「日本の自動車産業はなぜ強いのか」とある、現状としては、現在自動車産業は厳しい状況だが、つい一年程前はものすごい活況を呈していた。
 本書は6年ほど前の著作だが、正しく将来を予想していることが驚きだ。

 日本の製造業はすべて強いわけではない、自動車産業のような、いわゆる「ややこしい」分野が得意なのだ。
 そして、日本の企業の強さは「創発」であると言う、それは、ダーウィンの進化論を比喩としているように、それぞれが現状を改善しようとひしめき合う中で獲得されるもののようだ(適者生存?)。
 それに対して、西洋的な方法論は、キリスト教の「創造」のタイプで、神が世界を作るという、上から俯瞰するようなやり方でスマートではある、しかし、自動車産業のような人間的ジャンルでは、弱いところがあるようだ。

 さて、そんな「創発」的企業の代表であるトヨタも赤字に陥った、歴史的な転換点なのだろうか、それとも他の要因があるのだろうか?