110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

動物にとって社会とはなにか(日高敏隆著)

 本書は1966年至誠堂刊行のもの、私は1977年初版の講談社学術文庫版を読む。

 日高氏の著作は個人的には好きで、また、刊行年度が古いので、安価に手に入れることができるのが嬉しい、「最先端の情報でない」という評価をする方もあろうが、新旧の情報がそのまま正誤の関係にあるわけではないことに最近気づいている。
 さて、本書は当時の事件(ベトナム戦争)を契機として執筆・刊行された。
 動物の社会性による個体数の(まさに)自然による調整と、人間社会の自然界からの逸脱と、戦争などによる人口調整についての批判・評価が行われる。
 戦後、奇跡的に戦争・戦闘状態にない日本に住む私は、本書は少しずれた感覚を覚える、しかし、実際に戦争は減少していない、逆に、日本がその関係性から逸脱しているだけなのではなかろうか?

 しかし、本書の議論に反して、特に、先進国での高齢化・人口減少の危惧があるように思う、これは社会的な制限なのか、それとも、一過性の局面なのかは何ともいえないが。

 とにかく、自然界の設計の精緻さに最近は驚いているのだ。
 そして、人間と言う種は、その設計の意図の内なのか、外なのかは窺い知れないが、自然界から逸脱している種ということはできそうだ。