110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

日本の弓術(オイゲン・ヘリゲル著)

 本書は、昭和11年(1936)にベルリン独日協会でドイツ人向けに行われた講演の翻訳で、当初昭和16(1941)年に岩波書店から刊行されたものが、1982年に岩波文庫版として新版として刊行されたものを読む(小編なのですぐ読める)。

 本書をどのように読むかは興味のあるところだ。
 私は、本書について翻訳者が、非論理的、神秘的と称した、当時の日本の思想(・・・ここでは端的に、仏教的、禅的なものとされている)を、現代人には、どのように写るのだろうか、ということを考えたのだ。

 そう、多分これが数十年前の(とある)日本の思想なのだ、それは「実在」したのだが、却って、現代との時間差が少ないために、(その)実在感が薄れているようにも思えてしまうのだ。

 まぁ、こんなことを書いても、本書を求めて読もうという人も少なかろう。

 今は、そういう時代だと思う。