110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

二〇世紀精神病理学史(渡辺哲夫著)

 本書はちくま学術文庫版で読む。

 20世紀の人は精神的に病的・・・いや病気である。
 いや、病気ではなく、それ以前の時代と隔離されてしまっている。

 そこに、異常な世界が現出する。
 例えば、仕事でも何でも、行き詰まることがある、その時に、今までのアイデアなどをすべて投げ捨てててやり直すと、意外にうまくいくことがある・・・すなわち、白紙に戻して再度やるのだ。
 しかし、これができないことがある、例えば官僚制が悪い、それでは、全て白紙に戻して・・・・とはいかない。
 (蛇足だが、それでは妥協案として、この官僚制を「数%」何とかしましょう・・・これは却って悪化を助長しそうだ)

 それを行っているのが現在であり、現在にいる人は、井の中の蛙で、自分の評価ができない。
 (これは、形而上学的な考え方でも同様だが・・・しかし、その形而上学(神)も処分してしまったなぁ)

 だから、病人であることはわからない。
 その外に出るには、中にいる人には、異常に見える努力が必要だ。

 そう、「夜明け前(島崎藤村)」の「青山半蔵」の様に、突然と自分の周りの世界が変貌するのだ。
 今までの暮らしは夢なのだろうか?
 そして、狂気の世界へ、それは狂気なのだろうか、もしかすると、周りから見た景色ではないのだろうか?
 そんな事を考えた。