110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

ドグラ・マグラ(夢野久作著)

 本書は、角川文庫版で読む。

 本書は昭和10年に初めて出版されたものだという、確かに、言葉使いなど現代と異なる部分がある。
 しかし、内容は決して古びていない様に思う。

 全体的に、その分量に対して、話の内容はあちらこちらに脱線しているために、それ程多岐にわたるものではないと思えるのだが、その脱線の中に、そのへんてこで面白可笑しく書かれた文章に、何か引っかかるものがあるのだ。
 本書は推理小説という範疇に入るらしいのだが、そうは思えないのだ。

 人間、社会、その深層にあるものについて、見てはいけないものを、見てしまったのではないだろうか?
 そういう絶望的な状況では、却って、笑ってしまおうとするのではないのか。

 似てないと言われそうだが、何か、山本夏彦氏の悲観主義に似ているところが伺えるのだ。
 
 ちなみに、角川文庫版の表紙は、米倉斉加年氏のものだが、私的には、なんとかして欲しい。