110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

現代史への試み(唐木順三著)

 本書は昭和38年(1963)刊行の筑摩叢書。

 日本の近代、現代にはいくつか断絶があるようだが、例えば、第二次世界大戦後、それまでの時代を「15年戦争」というように総括して分断する考え方・・・これは、発生した事象も含めて、判りやすいのだが、それ以前にも深刻な断絶があるとする人もいる。

 著者もそれを指摘している一人で、明治と大正の間に大きな断絶があったとするものだ。
 そして、全く、異なる視点から、山本夏彦もほぼ同時期に(山本氏は関東大震災を境にしている)断絶があったとしている。

 古い本を読んでいると、そんな事が以前に書かれていたことを知ることが出来る。
 また、そういう事象はなかなか複雑な問題点を含んでいる。
 いわく、私は、そういう断絶の後に存在しているということ、その時、現在の、日本人、もしくは、日本の文化なるものは、以前と異なる(断絶されている)のであろうか?

 現在を見るにつけ、それは「然り」であろう、そして、その「然り」が善いのか悪いのかという判断は、更に難しい問題を含んでいる。

 本書と異なる視点だが、貧乏であれば、それぞれが助け合わないと福祉がなりたたない、国が富んでいれば、それが不要になってくる。
 しかし、その富んだ国が下降線示したときに、昔の状況に戻れるだろうか・・・・これは?

 人間は(短いとはいえ)、半世紀以上生きるという「そのこと」に関係しているのだろうか?