110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

哲学の知恵と幻想(ジャン・ピアジェ著)

 本書は1971年みずず書房刊行のもの。

 そういえば読書を始めたのは「哲学」というものを知りたかったからで、難解な哲学書を読んでいるうちに、身体論というジャンルを知り、これならば多少具体的なので判りやすいかなと思って、そういう本を求め始めた。
 その中に、メルロ=ポンティ(「知覚の現象学」など)があり、いくつかの著作を読んだし、ストックもしている。
 本書を見ると、そのメルロ=ポンティの批判があり、現在も気になっているハイデッガーについても批判(ある意味酷評)している。
 まだ「知覚の現象学」も読んでいないのに、批判を先に読んでしまって良いものだろうか・・・などと思いながら、読んでみると・・・大変面白かった。

 著者は、公平に判断している、ただ「哲学」のうちのある部分が、自然科学的な態度をとらない(とれない)ことに対して批判している。
 それは、「反省」だけではなく、「演繹」と「実験」を取り入れて欲しいということである。

 確かに「形而上学」では、そもそも実験など不可能であるかもしれない、それならば、不可能なことを逆手にとって、根拠としてはいけないということだ。
 すなわち、哲学書を読むに当たって、自分がその検証(批判)を意識しながら行うということであろう。

 いまどき、哲学書にはまるということは・・・・まぁ、異常な心理なのであろう。