110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

満足の文化(J.K.ガルブレイス著)

 本書は平成5年新潮社刊行のもの、私は平成10年初版の新潮社文庫版で読む。

 現在のアメリカの状況はどうなのか、私はチェックしていないので詳しくはわからないのだが、本書のオリジナルが出版された1992年のアメリカは、著者にとっては悲観的な状況だったようだ。
 そこには、満足の文化と、満足した人々が存在し、その満足した人々が、政治の中心的な舵取りをしているという見解を示している。
 そして、さらに悪いことには、満足している人は、短期的で自分の利害に関係のあることにしか関心を示さないという。
 もし、長期的な変革が必要な政策局面で、この状況に陥るとすれば、具体的な(変革の)手を打つことなく、現状維持の状況が続きじりじりと(国家が)疲弊していくことになる(しかし、満足している人々=いわゆる金持ちには関係が無い)

 社会批判、経済批判の書は、その歴史に拘束されるので、当時のものを現在にはそのまま投影できないのが普通だと思うのだが、この「満足の文化」という考え方は、外見を大きく変えながらも、現在の日本の状況にも当てはめられるのではないか?・・・そんなことを思いつつ読んでいた。

 そう、ガルブレイスという著者と久しぶりに会ったのだ。