110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

マルテの手記(リルケ著)

 本書は岩波文庫版で読む。

 最近読む岩波文庫では、赤版(緑版)の比率が増えてきた、今までは青版を別格と思っていたが、そんなことは無く、古典として位置づけられる文学作品も十分に、いや十分以上に「青版」しているものもあるのだ・・・そして、本書も、読むなりにちょっと寒気がするタイプの作品ではある。
 一読すると、なにやら精神を病んでいるような文章(原典はどうかわからないが翻訳上では)なので、読んでいるほうが心配になってくる、そしてそれが詩人の目線や感性なのではないかと思われてくる。
 そう、少なくとも私よりもはるかに細かく周りのモノ(事象)を見つめているのだ。
 それは、常人では掴み取ることができない能力なのだろう。
 そして、そこには、人間の問題が見え隠れするのだ、それは、余り麗しい印象ではないのだが、それが現実なのであろうか。
 私(人間)は、どこから来てどこへ行くのだろう?・・・そういう問いに対して本書はある回答を与えていると思うのだ、本書を読まれた方ならば、それをどう捕らえたのだろうかと想像してみるのだ。