110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

市民政府論(ロック著)

 本書は岩波文庫版で読む、本書は最近古本屋で安価に出回っているので読んでみる。

 本書の序説は個人的に気に入っている、こうだ、
 「・・・第一に、アダムは、父としての自然の権利によっても、あるいはまた神から積極的に与えられるということによっても、論者の主張するようなその子供たちに対する権威とか、あるいは世界に対する支配権とかいうようなものを有していなかったこと、第二に、かりにアダムがそれをもっていたとしても、その相続人たちは、なんらそういう権利を有してはいなかったこと、第三に、かりにアダムの相続人たちがそれをもつのだとしても、起り得べきあらゆる場合に、誰が正当な相続人であるかを決定する自然法も神の定めた実定法も存在しないのだから、相続権したがって支配権を、確実に決定することはできなかっただろうということ、・・・・・」
 人間が誰かに支配されるということ、その根本(自然)には何の根拠もないということを指すのだろう。
 この前提を踏まえて、現在から考えると、かなり過激な理論が展開される、しかし、自然法もしくは法
というものを考える端緒としては良い題材ではないだろうか?

 まぁ、何故アダムなのかという素朴な疑問もあるのだが、これとは無関係に、私的なオチは、この後に陸羯南「近時正論考」を読んだということだ(天皇とは・・・)。
 自分のこの矛盾性と、その矛盾を余り気にしないところが「色即是空」な、いや、優柔不断なところだと断定する。