110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

動物農場(ジョージ・オーウェル著)

 本書は角川文庫版で読む。

 オーウェルではもっとも有名な作品のひとつ、社会主義批判だとか、ファシズム批判だとか、はたまた自由主義も含めた権力批判だとか、様々に捕らえることができる、文体はある種の寓話・童話の体をなすが、その内容はすこぶる深いものがあるように思える。
 そういう意味でこの作品における(本書の解説にもない)私の着目点は「老齢退職し動物のために、放牧地の一角を保留しておく」というころだ、ボクサー(馬の名前)は全力を挙げて、この意味不条理な動物農場システムを肯定的に生き抜いていく(他の動物の何倍も働いて)、そして、その最後の目的は、その「牧草地(ユートピア)」だったのだ。
 しかし、それは無残にも果たされることは無い。
 そして、この感慨はこれ以上の議論は無く終わるのだ、たとえ、現在の年金制度が脳裏に思い浮かぼうとも別世界のことだ。

 さて、本書の読書は、次の展開を予想させるものだ、それは「1984年」への道であり、その次は「1Q84」へと進むのか、ミシェルフーコーの著作(権力系)へ行くのか、その他の展開があるのか、そこまでは未定だ。
 
 読書というのは、終わりの無い物語を読み続けることなのだろう、その都度、その作者や内容が異なるかもしれないが、それでも、長い期間を過ごすと、ある一つの、新しい物語の中に組み込まれていることに気づくのではないだろうか?

 それは、カオス(複雑系)と言っても良いのではないのかな?