110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

あるTVを見ていて

 最近テレビを見ていて不思議に思ったことがある。
 
 その一つは、昨日、韓国の産業の強さ、すなわち、サムソンや現代などが、日本のお家芸とも言える、自動車や電子製品で前者は追い越し後者も追いつきつつあるということを背景に、韓国の強みは何かということについての説明があった。
 その時、自動車産業について言及し、韓国では、自動車はまず国内市場に販売し、きちんと利益を上げ、その国内市場向けの製造ノウハウを蓄積し、その上で練り上げたモノを輸出している、これに対して、日本の自動車メーカーは国内市場では赤字であり、海外で稼ぐ形式になっているため開発や製造に制約が掛かる、そして、結論として、日本に拠点を置く意味もなくなる可能性もあることを指摘したかったようだ。
 まぁ、これは結論として致し方ないことだが、冷静に考えると、これは、歴史的に陥った結果である、例えば、ホンダが四輪でアメリカ市場で躍進した契機は、1970年代のマスキー法であったと思う、CVCCという低公害エンジンを開発しいち早くその規制をクリアしたことで数量を増やしたのだ、さて、良く考えて欲しい、それでは、そのCVCCを開発するための原資はどこで得たのか?
 当たり前の話だが、それは日本の国内市場での販売で得たものだ、すなわち、現在の韓国の勢いは、彼らの努力の賜物であることは事実だが、これを報道する側が持ってきたその要因、それは、かつての日本が行った方法なのだ。
 それを誇示するつもりはないが、あたかも、日本の製造業はダメでという形式で報道するその姿勢に疑問を持った。

 この報道では、これからは韓国方式をを見習ってなどという論説に行きそうだが、ちょっと待てよ、今は窓際にいるかもしれない、現在定年間近もしくはすでにリタイアしたかもしれない製造業の社員に、当時のノウハウを聞く方が早いのではないのか?しかも、親身に教えてくれるのではないのか?
 この報道を聞いていて、この番組を作った日本人は、かつての日本人を嫌いなのかと思ってしまった。
 確かに、この国の人たちは「3K」という言葉を作り製造業を差別した。
 優秀な理工系の学卒も、給料が良いということで金融業などに就職した。
 それでも、苦しくなると、外貨を稼ぐということなのだろうか「ものづくり」などと言う事を平気で言う。
 
 東京都で言うと、大田区の町工場の衰退など、最近はニュースにさえならない。
 製造業も、生物の連鎖と同じに、大工場があれば、中小の工場が林立することで、その強さが保たれる、すでにそのうち、一番弱い環である小規模の工場が破壊されている。
 それでも、頑張っている国内の製造業は、繰り返しになるが、奇跡的な努力をしている。

 そんな矛盾は押しのけて、面白おかしい理屈をこねる、不思議な国になったものだと思う。