110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

ギロチン(カミュ著)

 本書は紀伊國屋書店1968年初版刊行のもの、日本でも取り上げられる、死刑についての是非を問うものだ。

 わが国には、未だ死刑制度があるのだが、本書の書かれた当時のフランスでも制度は残っており、カミュはこれに反対の立場を取るのだ。
 細かく分析すればたくさんの理由が本書から読み取れるのだろうが、私が見つけたのは2点、ひとつは、死刑には凶悪犯罪を抑止する力があるという理由があるとされるが、統計を取ると因果関係が見出せないということ、そして、そもそも死刑をする権利を人間が持つことは許されるのかという2点だ。

 この読書を機に、死刑反対の立場を取りたいと思うのだが、私としては、後者、すなわち、人間が人間を極刑として裁くことが、その根本的な理由がわからない・・・ということによる。
 ただし、意外と簡単に死刑の存在について納得してしまうかもしれない。
 それは、その国の権力機構上の必要から、不要と判断される人間を処分すること・・・すなわち、人道的な理由なんてないんだよ、と説明された場合だ。
 これは、かなり現実的な理由だが、やはり表立っては言わないことだな。