110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

惑星科学入門(松井孝典著)

 本書は1996年講談社学術文庫として刊行のもの。

 かれこれ15年以上前のものだから現在はもう少し進んだ見解もあろう、素人の私が指摘できるのは、冥王星が太陽系の惑星から外されたところぐらいか?

 しかし、宇宙の広大さから比べれば、はるかに身近にある惑星について考えてみても、ただただ驚くべき事柄が多々あるようだ。
 例えば、太陽からの放射熱だけを与えられたとして計算された惑星表面の温度が、その計算値より高い場合に、その原因としては重力により上空の物質が落下するときのエネルギーが大きな要素だと示されると、すぐに意識は切り替わらないだろう。
 それぞれの1回限りの熱量などはたかがしれているが、これを40億年以上蓄積すると大きな影響を及ぼすのだ、という論旨を読むと、そこに、哲学的なことすら考え始めてしまう。
 それは、人間のサイクルと、地球のサイクルの差についてであり、人間は、化石燃料をあと数十年とか、百年とかのサイクルで使い果たす云々の議論をしているが、それは、自身の生存年数に数倍という係数を掛けている範囲であるのに対し、地球のスケールは、その何乗(千年、万年、億年)にも値する、それこそ膨大な時間のうちにある。
 この、時間の大きな格差について、どう考えれば良いのだろう?
 そんなことで、哲学者はみな多少このような極大なものに思いをはせる。

 ガイア理論のように、地球を生物のように捕らえる様な説があったが、たしかに、時間のスケールを大きくとると、地球も(惑星なども)生きているように見えてくるに違いない。

 しかし、私についていえば、今日、明日のことで、四苦八苦しているのだ。
 これは、あまりにせわしいことではあるし、悲しいことでもある。