110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

水平思考の世界(エドワード・デボノ著)

 本書は講談社ブルーバックス昭和46年初版の物、懐かしく感じた人もいるかもしれない。

 論理的な思考法、ここでは垂直的思考法では限界がある、水平的思考法もあわせなければならない問題もあるという指摘で、垂直・水平という明快な分け方が理解しやすい本と言える。

 水平的思考の原則として、4つの項目を本書では上げている。
 1 支配的なアイデアをみつけること。
 2 いろいろなものの見方を探し求めること
 3 垂直思考の強い統制から抜け出すこと
 4 偶然のチャンスを活用すること

 演繹的・論理的な垂直思考に対して、新しい局面の対応は難しい場合がある、そこで、ある意味直感的でいい加減なところがあるとも言える水平思考を併用することで、解決の糸口が見つかるのではないかということだ。

 また、本書ではもうひとつ気になる言葉があった「問題がないことが問題である」場合があるという指摘だ(製造業の在庫管理の本を読むとこの考え方がよくわかる)。
 本来、問題がないことは良いことだが、潜在している問題を見逃している場合があるのではないかというものだ、昨年の、地震被害者をフォローした報道番組を見ていて「政府は何もやっていない」という被災者の意見がいくつか取り上げられていたが、ここでの問題は、まさに、旧来からの考え方、垂直思考ではなく、もう少し、広く視野を広めた水平思考が必要なのではないか、もっと極論すれば、「成果が上がらないという意見が出るということ」は何故かという、さらに一段深まった問題定義が必要なのではないだろうか?
 そんな風に思うのだが?