本書は
新潮文庫版で、著者の作品やメモから抜粋された
箴言集。
膨大な作品群を読む前にお手軽に良いところを読んでみるのには良い素材。
読んでみて気に入ったら、その作品群を読むという長い旅に出発するが良い。
私も何となく形而上的なものを信じてしまう齡に入ってきたようだ。
「信じるということ」ということの中に「現代人の不幸は形而上の救いに頼れなくなったことである」とあり、それを宗教と読みかえてある種の幻想として意識の中から片付けてしまおうとしても、いつか自分の心身の衰退とともに、そういう意味の無い後ろ盾にすがらないと生きていけなくなるのではないかと思ってしまうのだ。