110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

老人介護常識の誤り(三好春樹著)

 本書は新潮文庫版で読む、実は、前にも読んだことがあるので2回めとなる。

 前に読んだのは記録を見ると2010年のこと、書中に聞いたような話が出てくるので調べたら分かった。
 しかし、その時と今では状況が異なり、より現実的・実践的になった今の方が参考になる。
 ベッドに関する話題もあった。
 今、母親が起き上がるのに不自由なので電動式のベッドを考えたりしていたときなので、そういうものを外から見た(他人事)利便性であてがってはいけないということが分かった。
 それは、自分でもそう思い込んでいたことなのだが、「できるだけ本人が自発的にで動くようにすること」というもので、確かに電動式で便利になるように思えるが、本人は体を使わなくなってしまう。
 そうすると、その小さな隙間から老化がすすんでしまう。
 まさに、今体験していることではないか?

 また、お風呂についても区の補助を受けて改修したのだが、本書に照らしてみると、やはり他人目線、老人でない人の目線であることがわかる。
 なぜそうなのかというと、改修してから母親はまだ一度も家の風呂に入っていない、ディサービスのときに入浴している。
 たぶん、直感的に感じるところがあったのだろう、本書を再読してみるとおぼろげながら思い当たる節がある。
 やはり、人間というものは、機械仕掛けだけではうまく行かない部分があるのだろう。
 
 人間の始まりにある教育と終わりにある介護とはそれぞれ似たような難しさがある。
 どちらも余りにも合理化や効率化すると先々で手痛いしっぺ返しにあうことになる。