110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

東京の原風景(川添登著)

 本書は1979年日本放送出版協会から刊行されたもの、私はちくま学芸文庫(1993年初版)で読む。

 本書では特に花を中心主題として江戸時代から明治時代への文化を著したもの。

 私たちの現在の東京と比べて、はるかに明治の東京の自然は豊かであった、しかし、その明治時代に比べてもはるかに江戸時代の自然は豊かであった。

 生活のレベルは過去に比べ現在のほうが近代化した分優れているのかもしれない、しかし、花、木、庭、公園などの自然環境(それらは多分に人為的であるといえばそのとおりだが)は、比較にならないほど低下してしまったのだろう(トトロなんていうアニメももうなくなったもの(風景?)を懐古しているようにね)。

 それらは、見ないようにすれば良いことだし、そういう生活も実際可能なんだけれども、ふと気づいて振り返るとものすごく寂しいものがある。

 遠くの人や物と簡単につながれるのに、ごく身近な人や物とつながるのが難しい、そういう世の中なのかもしれない。