110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

他人にはなれないから

 備忘録として載せよう。
 こういう仕事は、見たり聞いたり勉強したりでは分からないことが多い。
 実体験をしないと究極的には厳しいこともあろう。
 この手の職域は、現場の未経験者を管理者(監督者)にしては本来いけないことなのではなかろうか?
 母親の介護をここ数年しているが、介護の関係で訪れる人のなかには、何か間違っているのではないかとか、経験不足なのではないかと思う人もいる、肩書きは適当についているのだけれどね。
 老人介護について、一番いい経験は老齢になることだ。
 そうすれば、老人介護について身に染みてわかるはずだ、しかし、その時には既に遅いのだ。
 だから、未だ老人でなくとも、その立場を理解するという稀有な見識のある人が多数必要なのだ。
 
川口市、重度障害児の受給者証を更新せず 厚労省「考えられない」
埼玉新聞 8月23日(日)23時28分配信

女児は目を離すと自傷や異食などの行動が伴い常に目が離せない。母親は「もっと寄り添ってもらいたい」と願っている=川口市
 川口市の民間福祉事業所で「行動援護」の支援を受けている10代の重度知的障害児3人に対し、市がサービスを受ける際に必要な受給者証を更新しないままになっていることが22日までに、関係者への取材で分かった。行動援護自傷、異食などを伴う重度障害者が日常生活を送る上で不可欠な支援。事業所は現在、受給者証の提示がなくても無償でサービスを継続している。
 行動援護は判断能力が低く行動に著しい困難を伴う障害者に対し、危険回避のため日常生活の補助、外出支援などを行うサービス。専門知識のある支援員が1対1で行動を共にするため手厚い支援が受けられる。3人の障害児は2008年から今年にかけて、市が行う福祉サービスの介護給付として行動援護を利用している。
 受給者証は市町村が発行し、毎年更新が必要。市町村は指定事業者や利用者が提出する利用計画書に基づき、必要なサービスを評価し認定する。3人の受給者証はそれぞれ今年1~5月で期限切れになっているが、その後は市から行動援護の認定を受けられず、継続発行されていない。通常ならばサービスが受けられない状態が続いている。
 3人が通う事業所や保護者によると、市は3人の行動援護を認定しない理由として(1)外出のための支援なので建物の中では利用できない(2)行動援護はいずれなくなる(3)子どもには行動援護は使えない(4)通年かつ長期の利用になるため行動援護は使えない―などと説明。障害の状態に応じた明確な説明はなかったという。
 川口市障害福祉課の伊藤雅章課長は取材に対し、(2)と(3)については「職員が事実でない説明をしたとは考えられない」と否定。個別の件には触れずに一般論として「行動援護はあくまで外出準備も含めた外出を支援をするためのサービス。基本的に事業所内での利用は難しい」と述べた。
 一方、厚労省障害福祉課は、行動援護について「外出先の室内でもサービスは認めている。外出支援に限ったものではない。通年かつ長期も、利用者の状態に応じて市町村が必要と判断すれば可能」と指摘。受給者証が発行されていない現状には「通常では考えられない。児童の状態がこれまでと同じなのに今年から認定しなくなったのであれば、相応の理由を保護者にきちんと説明するべき」と話した。
 3人のうち自閉症を伴う重度知的障害の10代女児は危険を認知できず、突然道路に飛び出したり、かみそりを口に入れたりするという。女児は1月末まで市発行の受給者証を使い、下校後に同事業所でサービスを受けていた。母親は「いつ危険な状態になるか分からない命。行政の人に分かってもらえないのが悔しい」と嘆く。
 同事業所代表の男性は「受給者証は障害者にとって人権そのもの。命を守るために一日でも空白ができてはいけない」と強調。市の対応について「障害児に対するネグレクト」と憤りを示し、早期発行を求めている。

■個別案件と考える/国立重度知的障害者総合施設「のぞみの園」事業企画局研究部研究課(群馬県)の志賀利一部長の話
 行動援護は単に外出(移動)を支援するサービスではない。行動障害の著しい人の現在や将来を考えて利用計画を立案していくことが前提であり、事業所による居宅サービス計画が重要になる。個別の案件として当事者、事業所、市町村間で、最も良い福祉サービスの組み合わせを考えていくべきだ。