110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

生涯を賭けた一冊(紀田順一郎著)

 本書は新潮社昭和57年刊行のもの。
 最近、余り読書感を上げなかったが今年の最後の本として気まぐれで上げてみる。

 本書の内容は、著者が選定した生涯に(ほぼ)一冊の後世に残る本を作った人・作品を取り上げ、可能ならば、本人や親族に取材しその背景を(多面的に)探るというもの。
 取り上げた著書は、
 文倉平次郎 「幕末咸臨丸」
 岩本千綱 「三国探検実記」
 山本作兵衛 「王国と闇」
 田中菊雄 「現代読書法」
 牧野富太郎 「牧野日本植物図鑑」
 諸橋轍次 「大漢和辞典
 玖村敏雄 「吉田松陰
 松崎明治 「釣技百科」
 山下重民 「新撰東京名所図絵」
 であった。
 本書自体が30年以上前のもので、更に、そこで取り上げられた作品も戦前、大正、明治と遡り「そんな古書読んでどうなるの?」という感慨を持たれる方もあろう。
 でも早速、玖村敏雄「吉田松陰」を検索して発注した、なんと2014年に文庫版で復刊されていた。
 どこにでも、目利きの人はいるものだ、と感嘆したものだ。
 徳富蘇峰の「吉田松陰」は以前なぞり読みしたが、印象は無かった。
 しかし、本書を読んでいて、玖村敏雄の作品は少し違うぞと思ったのだ。