110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

ひとりぼっちを笑うな(蛭子能収著)

 先日古本で読んだのが紹介されていた(ちなみに角川oneテーマ21)。
 良い本だと思う。
 「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」では最高齢ながらみんなと同じ距離をひたすら歩いたりするんだよね。
 だから、疲れて醜態を晒すこともあるが、それが、蛭子さんの凄いところなんだね。
 多少「ひねて」いるところがあるかもしれないけれども、それはそれで良いんだと納得してしまうんだな。

蛭子さん、自由でいるために「ひとり」を選ぶ…著書「ひとりぼっちを笑うな」はベストセラーに
産経新聞 2月8日(月)17時0分配信
 〈平成26年8月に出版した著書「ひとりぼっちを笑うな」(角川新書)は16刷、9万7千部のベストセラーとなり、今も売れ続けている〉
 本業の漫画は全然売れないんですけどね。僕みたいにあまり友達がいない人が買ってくれたのかな。「共感した!」と言ってくれる人がたくさんいて、驚きました。
 本を出したのは、僕の人づきあいのあり方や行動原理みたいなものを書いてみたらと提案されたためです。最初はあまり乗り気じゃなかった。ただ、そのころ無料通信アプリ「LINE」での書き込みをきっかけに女子生徒が殺される事件があって、「なんでこんなことで殺されないといけないんだろう」とすごく不思議に思った。友達同士のやり取りでもめて殺されるぐらいなら、友達なんていなくていい。独りぼっちだっていいんじゃないか。むしろ「1人でいることのよさ」をみんなに知ってもらった方がいいと、思っていることを本に書くことにしました。LINEもそうですが、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の発達に伴う昨今の友達偏重主義みたいなものに、日頃から違和感を持っていたこともあります。
 〈俳優、太川陽介さんらと旅をするテレビ番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」(テレビ東京系)は今年で10年目。若い世代には自由気ままな生き方が憧れにもなっている〉
 番組を見て、僕が「自分勝手、自由気ままにしている」と思う方が多いようです。僕としては、相当いろいろ気を使ってやっているつもりなのですが…。でも、僕の行動がそう見えるのは、今の世の中、いろんなことを我慢して、窮屈に感じている人が多いからかもしれない。
 僕はその場で思ったことを正直に言っているだけ。例えば、旅先での食事も僕は普段と同じとんかつやカレーを注文することが多い。本当はその土地の名産を食べた方がいいのでしょうが、そういうものにまったく興味がないので、自分の食べたいものを注文してしまう。こうした振る舞いは、10年前なら「何やってんだ」と非難されるだけのような気もします。それが面白いと思ってもらえる。僕自身は何も変わっていないのに、世の中の空気みたいなものがちょっとだけ変わったのかもしれない。
 子供のころから僕は、自分が感じたように、思ったように行動して生きてきました。僕は誰かに束縛されたり、自由を脅かされたりすることが大嫌い。誰もが自由に意見できる世の中こそが一番いいと思っている。1人でいるのが好きなのは、自分の時間を自由に楽しみたいと思っているから。友達を誘えば、もしかしたらその人の自由や時間を奪うことになるかもしれない。自分が自由でありたいから、他人の自由も同じように尊重すべきだと考えてきました。
 自由でいるために、僕は意識して“群れ”の中に自分の身を置かないようにしてきた。だって、そうしないと自分のやりたいこともできないし、言いたいことも言えない。僕にとって、この世に生まれて一番の喜びは、自分の考えていることを実現することだと考えているからです。(聞き手 平沢裕子)