110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

断章126~130

断章126
 「人間の描写。
  従属、独立の願い、不足。」(全文)

断章127
 「人間の状態。
  定めなさ、嫌気、不安。」(全文)

 126、127について、いやはや的確だ。

断章128
 「執着していた営みから離れることから起こる困ったこと。一人の男が、楽しく夫婦生活を送っている。ところが、気に入った女性が現われ、五日か六日楽しく遊ぶとする。こうなると、はじめの営みにもどっても、惨めなものである。これ以上ありふれたことはない。」(全文)

 パスカルのこの「パンセ」はもっと普通に読まれても良いのではないか、確かに、哲学的宗教的な深淵な考察もあれば本断章のような俗に見える考察も捨てがたい。
 なにしろ、二三日ではない「五日か六日」だ、これだけで半時ぐらい思いを巡らせることができるはずだ(もしかして単なる慣用句ではないだろうな)。

断章129
 「われわれの本性は運動のうちにある。完全な静止は死である。」(全文)
 少し前に、ベルクソンを「ちら」と読んだことを思い出した。

断章130
 「立ち騒ぎ。
  もしも兵士かあるいは労働者などが自分の労苦についてぶつぶつ言ったら、彼らに何もさせないでおくがいい。」(全文)

 『なにもさせない』ことがポイントで、何かさせると革命が起きてしまう可能性があることを歴史が証明しているなどと、風の噂で聞いたことがある。