110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

日本イメージの交錯(山内昌之・古田元夫編)

 本書は東京大学出版会1997年刊行のもの。

 歴史に関わるものは日々進歩する。
 本書で取り扱われたのは、日本とアジア太平洋諸国の間の歴史のまさに交錯をとりあつかったものだ。
 1997年前後の見解を2016年の現在の地点で取り上げるのは如何なることなのかと批判されることであろう。
 そう、私も今から20年も前のことを記してもしょうがないと思っていた。

 それが、あとがきを読んでいて書く気になったのだ。
 そこには、政治的に利用されるような「国民説話」(とあとがきの著者が名づけた)と、学術的客観的な「学問的研究」があるとする。
 もう、予測可能だと思うが、「国民説話」ではなく「学問的研究」にもとづく歴史観を広めなければならない。
 
 ここまでは了解可能だ。
 だが、そいつをやるのは、あなた方のような学術研究者が適切ではないのか?
 どうも、このあとがきという奴が、紋切り型であり、私は関係ありませんという批評家的な文章だったのが気になってしょうがなかった。
 そして、多分「あとがきの著者は多大な骨折りをしていただいただろう」と予測するが、中国、韓国などとの歴史観のすり合わせはどうなのよ?
 20年経っている。
 言葉で著すことは大事なことだが、結果が出ないのは何故なんだろう。