110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

「知らない人にあいさつ」って危険なの?

 あいさつは対人間の軋轢を解消する手段だったような気がしたのだが?
 「挨拶もできない人」という言葉があるように、そういう人はその地域の中で浮き上がってしまうという印象を持っていた、また、そういう人が怖い(危ない)人という評価を受けていたようにも思う。
 少し視点は変わるのだが、現在は、電車の中や歩行中に他人にぶつかっても謝らない(挨拶しない)人が増えた様に思う、たぶん、そこで関係を作ると相手に何を言われる(要求される)か想像できないので、道徳・倫理的なリスクをとるよりも、匿名性の中に隠れて逃げしまうことを選ぶのではないだろうか?(って、もしこの仮説が正しければ、人間性の根本的な問題だよね)
 まぁ、難しいことは抜きにして、無責任で卑怯な世の中になったのかもしれないね。
 随分前に、歩道上で自転車にぶつかられてケガしたことがあるが、相手は素知らぬ顔で走り去った。
 混雑している歩道を歩いているときに荷物をぶつけられることも結構ある、その時に謝らない人も多数いる。
 本人は意識がないのだろうが、物よりも人間の方が大事なはずだ、相手が怪我でもしたらどうするつもりだろうか、傷害になるのにその自覚がない。
 海外の比較で言われることに、女性の深夜の(無防備な)一人歩きを指摘する人もいたようだが。

 平和であることの弊害か、それとも、そういう人たちはすでにこの世に生きていないのか?


「知らない人にあいさつ」って危険なの?
産経新聞 12/5(月) 11:45配信 

 「知らない人にあいさつされたら逃げるように教えているので、あいさつしないように決めて」-。神戸市のマンションで、小学生の保護者が提案し、マンション内のあいさつが禁止になったという地元紙への投書がネット上で賛否を呼んでいる。神戸市では平成26年、路上で声をかけられた女児が殺害される事件が発生。同市教育委員会はあいさつ運動を進めつつ防犯指導も行う。あいさつと防犯について、明石要一千葉敬愛短大学長と、セコムIS研究所の舟生岳夫氏に見解を聞いた。(高橋裕子、篠原那美)

■社会への扉開く第一歩 千葉敬愛短大学長 明石要一氏
--投書を読んだ印象は
 「意外だった。周りから孤立している『ひとりぼっち社会』がここまで進行したのかと驚いた」

--あいさつ禁止が決まる背景とは
 「子供を含めた生活空間として、いとこら親族を含む『身内』、顔や名前を知っている地域社会などの『世間』、知らない人の『赤の他人』がある。昭和時代までは赤の他人の範囲が狭かったが、現在のネット社会は周り全てが赤の他人に拡大し、『世間体が悪い』といった社会規範が通用しない。戦後の大きな変化はいとこが減り親族が減ったこと。自分の核家族のみに身内が縮小し、地域社会が消え、社会規範が消えた」

--少子化で親族の増加は難しい
 「私は『斜めの関係』を持った地域社会の復活や再構築を提案している。今は親子や学校という縦の関係と、クラスメートという横の関係しかないが、かつては縦横の関係を補完するいとこや地域の子供会などの『斜めの関係』があり、人間関係が豊富で防犯上も機能していた。あいさつ禁止は、ひとりぼっちを促進している」

--子供にどう教えたら
 「逃げることを教えるより、『あいさつしなさい』と教えてほしい。あいさつは社会への扉を開く初めの一歩。大人はたとえ子供からあいさつが返ってこなくてもあいさつを続けるべきだ。近年はあいさつ文化が消えつつあり、出社時退社時に何も言わない会社もあると聞く。だが、業績の良い企業や集団はあいさつや返事がきちんとできるという傾向もある」

--あいさつをきっかけとする不審者に不安を持つ保護者もいる
 「あいさつに続く甘い言葉や、『親が急病』といった嘘に注意するよう教えればよい。また、保護者は子供が生まれたら地域デビューをしてほしい。保護者がひとりぼっちになってはいけない。親が地域であいさつをすれば、子供は幼くてもその相手が安心な人であると識別できる」
 --都市部など地域社会の再構築が難しい地域ではどうすべきか
 「地域の夏祭りをやめる傾向があるが続けるべきだ。祭りを中心に地域住民の顔や名前を知っている状態がつくれる。昔ながらの祭りである必要はない。クリスマス会やバザーなど、さまざまなイベントを催してほしい。地域でイベントを仕切れる人材を育てていく必要もある。近くに大学や専門学校があれば協力してもらうのもいい」

--大人のふるまいが大事
 「大人が自らあいさつして子供にその姿を見せるしかない。いとこや親族に代わる新しい身内は地域社会。地域社会で交流することで、子供の世間が広がり人を見る目ができる。人と交流しなければ人を見る目も育たない」
 〈あかし・よういち〉昭和23年、大分県生まれ。68歳。東京教育大大学院博士課程単位取得退学。千葉大教育学部長などを経て、平成26年から現職。文部科学省中央教育審議会の専門委員などを歴任。

■危険回避能力の育成を セコムIS研究所主任研究員 舟生岳夫氏
--あいさつ禁止のルールについてどう感じたか
 「子供向けの防犯セミナーを行っている立場としては、あいさつをしない社会は怖いと言いたい。だが最近子供を見守るボランティアの現場から『子供にあいさつしたら逃げられた』『不審者扱いされた』との話をよく聞く。見守りがやりづらくなり、逃げられれば気分も悪いので、あいさつや見守りをやめようという声が出ている。こうした風潮は子供の安全のためにならない。あいさつと子供を誘うような声かけとは区別をしなければならない」

--あいさつ禁止は保護者の提案がきっかけだったが、その背景は
 「子供の連れ去りは声かけがきっかけで起こることが多く、保護者もそうした知識をもっているからだろう。あいさつがきっかけで、『ゲームしよう』『かわいい子犬を見せてあげる』と巧みに誘い、子供がついていくことを保護者は心配していると思う」

--学校ではどう指導しているのか
 「約10年前に奈良、広島、栃木で小学生の女児が殺害される事件が相次いだ。当時は私が講演に行く学校でも、知らない人から声をかけられたら逃げるように指導しているというところが多かった。絶対に被害に遭わないという意味で、『あいさつされても逃げる』というのは、一つの方法かもしれない。だが最初から人との関わりを全部断ち切ってしまうと、見守ってくれる人なのか、近所の人なのか、不審者なのか分からない状況に陥る。今は学校でも、『地域の人とはあいさつしましょう。ただ、知らない大人についていってはいけない』という指導になってきている。子供の危険回避能力を育てることが重要だ」

--子供にはどう教えればいいか
 「知らない人はもちろん、知っている人でも、ついていかない、行動を共にしないことが大事だ。その線引きをしてあげてほしい。他には、『道を教えて』といわれたら、『あっちだよ』と指さすのはいいけれど、『この地図を見て教えてよ』などと近寄ってきたら離れる。知らない人と距離を保てる力も必要。困ったときは『大人を呼んでくる』『分かりません』と言って逃げていい。車からの声かけや腕を捕まれそうになれば、『助けて』と声を上げる。ただ単に逃げるという指導では判断できず思考停止になるだけだ」

--保護者が日頃から気をつけることは
 「子供がその時々で判断できるように、家庭でもいろんな場面を想定して話し合ってほしい。声をかけられたら逃げなさいというのは、親も簡単だし、地域の大人も子供に声をかけなくていいなら楽かもしれない。だが、それが子供の能力向上を阻害する要因になることも考慮しないといけない」
 〈ふにゅう・たけお〉昭和44年、北海道生まれ。47歳。東京理科大卒。セコムIS研究所の主務研究員。子供を守るための調査・研究や書籍、ブログでの啓発活動、全国で防犯セミナーの講師を務める。