110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

狼が語る(ファーリー・モウェット著)

 本書は築地書館2014年刊行のもの。
 映画「nevaer cry wolf(1983年)」でのマーク・アイシャムの曲が良いんだよねなどとYouTubeを見ていて、吹替なしの映画を見てたら、英語音痴の私は楽しめないので、ふと「原作はどうなのかな」と思って探し始めた。
 そうすると、ファーリー・モウェットの「オオカミよ、なげくな(紀伊國屋書店版、小原秀雄・根津真幸訳1977年/ちなみに原作は1963年)」というがamazonであったのでこれにしようかなと思ったが、私にとっては値が張るなと思ってぐだぐだ探していると、あった、それが本書だ。
 なんと最近復刻していたのだ、しかし、表題が変わっていたので検索ヒットしなかったわけだ。
 早速、買ってみた、残念ながら到着した本は、歪んでいた、古本ではあるが少し寂しかった。
 まぁ、中身は色あせもなく読みやすかったけれどもね。
 
 さて、その内容だが「赤ずきんちゃん」の影響かわからないけれども、狼というと悪い印象がある。
 しかし、作者の観察体験からして、狼は野蛮にして獰猛なイメージとはかけ離れた、謙虚で理性的な生き物であるというのだ。
 本書でもとりあげられた、北極圏のカリブーが激減しているのは、獰猛な狼が殺戮を繰り返しているからだという説に反して、人間が自然の秩序を超えた乱獲によるものだという反論をしている。
 さて、本当のところはどうなのだろう?
 
 人間が今もって殺戮を繰り返していることは事実だ。
 それでなければ、これだけの個体数を維持できないではないか?
 ただ、そのことをひたすら忘れながら生きているのだ。
 そして、自ら直接手を下さないことをもって自らを慰めている。

 ちなみに「nevaer cry wolf」を、当時撮影した現場は今はどうなっているのだろうか?
 すっかり様変わりしていたのならば、やはり悲劇であろう。