110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

改正組織犯罪処罰法の可決

 共謀罪の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が可決された、本法の可否については難しいので留保するが、ふとこんなことを思った。

 それは「中江兆民評論集」のなかに「保安条例の保存を望む」という明治21年の新聞記事がでているのだが、ここで兆民はこの条例を「条例中の最上銘作なり」と絶賛しているのだ。
 要点は、危険分子はその数は少なくとも、いざ事に当たれば多大な犠牲を出す、だから、(疑わしい)少数の人間の自由を拘束してもそれは事件が発生するよりも経済的で、効果的であるという趣旨なのだが・・・
 結論として、兆民は、自由民権、議会主導政治の旗手として、当時の、内閣、官僚を中心とする権力集中化の国家方針と対立することになり、皮肉にも、この保安条例にて退去処分を受けることとなったのだ。
 後に兆民は、この賛美を同書の他のところで後悔していたと記憶しているのだが、それがどこかは面倒くさいので調べない。

 まぁ、不思議な話だが「改正組織犯罪処罰法」・・・こいつも、保安条例と似ているというわけだ。
 これを手中に収めた者の意図により、天国にも地獄にもなる法律ではあるということだな。