110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

支那四億のお客さま(カール・クロウ著)

 本書は連合出版2007年刊行のもの。
 本書を知ったのは、直前に上げた「ヨーロッパ・対・非ヨーロッパ(飯塚浩二著)」に良書として載っていたから。
 調べて見ると、連合出版から復刊していることがわかり早速入手する。
 あとがきを見ると「2003年にハーバードブジネススクールの教科書として再販され、中国ビジネスのバイブルになっている」というくだりがある。
 なんとも不思議な因縁だが、この本の原典が書かれたのは1930年代であることを考えると、温故知新という言葉を思い浮かべてしまう。
 そして、飯塚浩二の考え方も再評価してしまうのだ。

 日本人は全てではないが、中国や中国人を見下してしまう人もいるようだが、本書を読んで、ここで展開された習慣が現在も民衆の中に息づいているのならば、あなどってはいけないことに気づくだろう。
 彼らは、その長い歴史の中で、わが国以上に辛酸を経験しているだろう。
 本書で、中国人はプラグマティズムな民族だとしているが、それはそういう経験の中で生み出されたものなのだろう、そしてその典型が「飯椀を壊してはならない」という考え方なのだと思う。。
 そういう思想が現在も残っているのならば、たとえば中国経済がバブルを引き起こし中国という国が破綻しても、民衆はは生き残ることが出来る。
 当時の日本は、大陸への進出という目的のために、中国や中国人という対象をきちんと見定めなかったのではなかろうか、自分がある程度手中にした西洋的なものの見方をあてはめて、中国人は劣ったものと思い込んだのではないのか?
 当たり前のことだが、国が違えばそれぞれの慣習も違う、昨今はグローバル化したとはいえ、やはり国それぞれで異なる価値観がある。
 だから、それを良く吟味しなくてはいけないし、自国の色眼鏡で見て単純に評価してはいけないはずだ。

 本書を読んで見ると、当時の人々だけなのかもしれないが、中国は民主主義の国だったということがわかるのだ。