110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

北朝鮮問題について

 現在の衆議院選挙がはじまり、北朝鮮の問題がひとつの政治的焦点になっている、安部さんは北朝鮮問題を解決できるのは、与党であり自分だという演説を行っている。

 これ以下のことは一つの参考にしかならないであろう、また、遡って咎めてもどうなるものでもない。
 ただし、ずっと不思議だったのが、米韓日のうちで一番対話を通した仲介役に相応しいのは日本ではないのか、韓国は民族問題に直結し、米国ではあまりにも違和感を感じる、第三者的に仲介できるのは日本ではないのかと思っていた、しかし、安部さんは経済制裁などの手段に訴えるが、自国から対話に持ち込むようなことはなかった、その背景には、拉致問題があったからだとして納得する向きも多かろう。

 先日、少し古い本だが「おどろきの中国(講談社現代新書)」を読んでいると、北朝鮮(問題)について宮台真司が「小泉政権が誕生した時に、拉致について公式に認めて、生存者もいることも認めたということは、・・・・驚愕だったんですよ」その後「まず、北朝鮮との約束どおり、一度拉致被害者をきちんと返す。そのリターンとして、北朝鮮がさらなる拉致被害者の存在を認める。そうしたら、日本が経済援助やアメリカへの口利きに向けて動く。北朝鮮はお返しに、核開発凍結に向けた構えを示す・・・・」という和解への道を示した、しかし、「ところが、まずブッシュ・ジュニアポピュリズムの観点から突如、北朝鮮封じ込め政策の方へ舵を切り、同時に日本でも安部晋三官房副長官(当時)が「政権がもたない」というふうにポピュリズム的な方向からバイアスを思い切りかけることで、こうしたロードマップをつぶしちゃったんですよね」と記してあった。
 
 現在では、大統領が変わったり、役職が変わり当時とは様変わりしているのだが、日米の北朝鮮に対するポジションが、(もしかすると)当時の日米にとって(たとえば)経済的な優位性から、またここでの指摘のようにポピュリズムから、一方的な対応の変更をしたのならば、ある意味(現在の)遺恨の根はそのときから存在したのかも知れない。

 私たちは、どうしても短期的に物事を捉えざるを得ないところはある。
 だから、今回の選挙などは、本当の意味での有識者の見解が聞きたいものだと切に思うのだ。
 今後の数年を決める可能性がある今回の選挙を、ポピュリズムで流してしまうようならば、後年の禍根となるかもしれないと思うのだ。