110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

悪者見参(木村元彦著)

 本書は集英社文庫版で読む。

 先日終わったW杯でのクロアチアを絶賛したが、たまたま、そこで旧ユーゴスラビアの問題に触れて、たまたま古本屋にあった本書を読んでみた。
 まぁ、クロアチアの人は本書の内容を知れば快く思わないかもしれないけれども、読んでしまったものは仕方がない。

 21世紀になろうとする、正にその時に、バルカン半島では政治的・民族的な対立が激化していたらしい。
 一般的には、ユーゴスラビアが悪者とされているらしいが、本著者は本当にそうなのか、実地に確認取材に行っている。
 結論は「絶対的な悪者は生まれない。絶対的悪者は作られるのだ」ということであった。
 私も観点は違うが「絶対」という形容詞が付く発言は疑うことが多くなった。
 (だから最近の日本は危ない思想が蔓延する雰囲気があるのだよね)
 ちなみに、自動車事故を起こしても、過失相殺はよほど酷い状況でないと100対0にはならないよね。
 それが現実なのに、何故か「絶対」を主張する言説は怪しいよね?
 
 まぁ、斯様な単純な理屈で怪しんでいるのが「拉致問題」だよね。
 国を挙げて北朝鮮が悪いというのは(まぁ)良いとしても、それじゃ「交渉」なんて一歩も進まないよね?
 軍備を持てないからなめられているんだ…なんていう意見もあるようだが、法の縛りがなければ攻め込むつもりなのか聞いてみたいところだね。

 本書を読むと、当時「悪者」とされたユーゴスラビアも、全てが悪いわけではないということがわかる。
 逆に、人間がいかに「バカないきもの」なのかが分かる。
 そういう理不尽なところでどう自分を見失わないで生活できるのか?
 これは、結構な問題だよね。