110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

哲学原理(デカルト著)

 哲学者として有名なデカルトの著作を読む。岩波文庫版では第二部までが訳されている。
 デカルトは「我思う故に我あり(ego cogito,ergo sum)」の言葉を残し有名である。また、不完全な人間が感知できない絶対の真理が存在し、それにより世の中が規定されているという信念、いわゆる「神の存在」を認めている。
 しかし、それは、我々に不可知だが神が規定しているので自明のような、短絡的な証明(証明と言えない?)に陥る可能性もある。
 また、第二部では、物質の諸原理について解説をしている。
 私は「ニュートン」以降の成果を知っているがために、簡単に評価を下さいてしまったが、しかし、何もないところから「思考」によりこれらの諸説を構築する事は非常に難しい事だと思う。
 また、デカルトの言うところの「まずあらゆるものを疑う事」「自らの思惟を起点に考察する」事は非常に重要だと思われる。

 ここでは、こんな言葉を引用する。
 「・・・知性の認識は、自分に示される僅かなものしか及ばず、常に全く限られている。しかるに、意志はある意味無限であるということができる、なぜならば、何か別の意志や、或いは神内にある無辺際の意志の対象になり得るもので、我々の意志の範囲に入らないものを、我々は全く知らないからである。従って我々は容易に意志をば、我々が明晰に認識するものの外にまで及ぼすのであって、もしかようなことをするならば、我々が間違いをするようになるのも、不思議ではないのである。(岩波文庫版P58)」

 以前、にオルテガの「大衆の反逆」の時に引用した文章を今回の引用と対で思い出した。