110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

意識と本質(井筒敏彦著)

 なにやら難しい題名で読みにくそうな感じだが、自分にとっては、とても読みやすい本であった。
 モノに対する本質について、東洋の思想、禅、朱子学イスラム思想やプラトンなどの西洋思想も交えて、解説してくれる本。
 表題作の他に、「本質直観」「禅における言語的意味の問題」「対話と非対話」など、興味ある小編が並ぶ。

 最近、言葉について、考える事が多い。
 ここでは「ブログ」という媒体で、何かを表現しているのだが、自分も「日記程度」と考えているように、余り立ち入ってコメントしないようにしている。(多分、同種の本を読んでいる人しかコメントできないと思う)
 ただ、ここに書いている以上、何かのメッセージを伝えてしまう事も考えられる。
 それは、自分の思っている事に近いのか、遠いのか?これは、不明だ。

 キルケゴールの「現代の批判」で、彼がマスコミに揶揄された事が書いてあったが、「言葉」は非常に大きな影響力を潜在的に持っていることに対して、現在は、たやすく、その「言葉」を広められる時代になった。(作者が意識しようがしまいが)
 言論の自由は保証されている。
 しかし、ローマの歴史を見ても、最初は弱者だった「キリスト教」が、遂に「ローマ国教」になり、それを契機に現在に至る普及をしたのだ。
 その原因は、多々あると思うが、その一つは「聖書」の中の「言葉」だと思う。
 弱い力でも、代々語り継がれて「強化」されるのだ。
 「言葉」には、それ程の破壊力を秘めている。
 本来、十分用心して取り扱うものではないだろうか。

 禅的な対話というのは、確かに以前は存在したようだが、現代ではどうだろうか?