110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

ローマ人盛衰原因論(モンテスキュー著)

 昨年、はまってしまった「ローマ人の物語」から、ローマというものに興味が出てきた。
 それは、私個人だけのものではなく、もっとより深く研究している方々が大勢いるという事と、それにふさわしい内容があるという事だと思う。

 さて、モンテスキューのこの作品では、ローマの衰退は共和制から帝政になったからという事のようだが、私としては、そこまで読み込めない。
 塩野七生さんの著作でも、カエサルから数世紀に関しては、たまに変な皇帝が生まれるが、領土を広げ「栄華」を誇っている。
 そうすると、その「反映」の裏には「衰退」の原因があったと言うことであろうか?
 とりあえず、そのようなこと(評価)は、置いといて、このフレーズは引用したかった。
「世界を支配するのは運命では無い。そのことをローマ人に確かめてみるならば、彼らは、ある一つの構想に基づいて導かれていた時には一連の相次ぐ繁栄を経験し、他の構想に基づいて行動した時には絶えることのない挫折の連続に陥ったことが分る。あらゆる君主政国には、それを興隆させ、維持し、あるいは没落させる、精神的もしくは物質的な一般原則が存する。あらゆる偶然の出来事はこの一般的原因に従属している。そして、ある戦闘という偶然、すなわち、特殊な原因が国家を破滅させたとすれば、そこには、ただ一度の戦闘でその国家が破滅しなければならなぬ一般的原因があったと言える。要するに、主要な傾向があらゆる個別的出来事を引き起こすのである。」

 うーん、深いですね。
 何か事を成したければ、そのための準備をしなさい。それが、目的にかなうやり方ならば、その目的を達成する可能性があるという事を言っているのでしょう。
 月並みな言葉ながら「運も実力のうち」という事でしょう。

 それと、以前読んだ「唯識」の中の「戒禁取見(かいごんしゅけん)」という考え方も含まれる様に思う。
 これは「特定の戒律や禁止事項を絶対化する考え方のこと」とある。
 ちなみに(肯定的に考えれると)カエサルは、共和制の行き詰まりを打開するために「ルビコン」を渡る。
 その、システムをアウグストゥスが、システムとして確立する。
 しかし、そのシステムが最初の意志とは別に、一人歩きし始める。
 そして「善い意志(構想)」のもとに作られたシステムが逆に「拘束要因」になる。
 凄く短絡的だが、(システムを変えずに紆余曲折を経て)ローマ帝国は崩壊する。
 という事でしょうか?