110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

無限、宇宙および諸世界について(ブルーノ著)

 現在は「言論の自由」が法律上保証され、却って、余りに自由に「発言」「出版」されるので問題になっているが、「言論統制」されていた時代は、そう昔の事でもない。また、いつ、如何なる手段で(直接的に)統制されるかもわからないし。逆説的に、現在は、情報を流す事によって「言論」や「思想」をコントロールする時代でもあるのかもしれない。
 ブルーノは、そういう時代に、天動説や当時主流の「アリストテレス」の哲学を否定した事などで、「反宗教的」な人物として幽閉の後処刑された。
 内容は、コペルニクスの主唱した天動説と宇宙の無限性(それによるアリスとテレスの宇宙観の否定)であり、天動説より、無限性の方が優れた視点と論理展開を見せていると思う。
 現在では、彼の提唱した「エーテル界」の考え方は間違いだったようだが、時代性も考えると(そして実証手段が乏しい事を考えると)とても進んだ考え方と言って良いと思う。
 それにも増して、当時の主流(すなわち多数派)に対して、あくまで「正しいと考える思想」を提唱し続けるという行動力に注目したい。
 なお、本編は、プラトンの「対話編」のような構成で、とても判りやすく自説を解説している。
 (知識とという面では読んでも得るものは少ないと思うのだが、何故か面白かったなぁ)