110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

背教者ユリアヌス(辻邦生著)

 話は唐突だが「ローマ人の物語」は、最終15巻目が刊行されているが、購入する事を封印している。
 それは、「ローマ人の物語」に携わる、様々な関連本を読んでから、読み終えたいという、いわゆる「エゴ」による。
 それが、昨日の「ガリア戦記」であり、本日の「背教者ユリアヌス」だ。
 マルクス・アウレリウスの「自省録」は読みかけて積んである。

 「背教者ユリアヌス」が、「ローマ人の物語」に登場するのは、第14巻目(「キリストの勝利」)で、キリスト教に染まる寸前のところで出てくる。
 興味がある人は、本書に回り道をしてみても良いと思う。
 本書ならば「ローマ人の物語」の、単行本2冊分くらい、回り道が出来る。
 さらに、楽しみたければ、ホメロスの「イリアス」「オデッセイア」に迂回しても良いと思う。
 いずれにしろ、この後は、キリスト教の台頭で、良かれ悪しかれ、1000年以上時間が止まるのだ。

 本書の主題は、普遍的なことで、哲学的なことだと思う。
 安倍さんが「美しい国」と言った事、それが、内心はどういう意味なのか判らないが、ある種の「理想」だという事ならば、この本にある葛藤に陥るに違いない。
 そして、大衆と言うのは何時の世の中でも残酷なものだ。
 しかし、残酷だと批判した「大衆」の一人が「私」だと言う自己矛盾に陥っていく。

 ところで、手元の「背教者ユリアヌス」は中公文庫版で「昭和63年9月30日13版」とあるにも関わらず、ある古本屋で(私的にだが)奇跡的に見つけて歓喜した。
 やはり、(良い)本が減っているのだ・・・(消耗品と化しているかもしれない)。

 さて、実は、この投稿の前に、少し長めの引用をしながら真面目に書いていたら、操作を誤ってデータを消してしまった。
 どうも、神々は本書の引用をお許しにならなかったようだ。