110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

ピアジェ思想入門(市川功著)

 構造主義の中に、ジャン・ピアジェという人がいる。
 実は、この人については余り知らなかった。

 もとより、最初ベルクソンの哲学に影響を受けつつも、哲学から抜け出し、自然科学的な手法で、生物学、心理学の研究を続けたから、今までの「思想」や「哲学」という面から見ている限りでは、死角になってしまうのも無理は無かった。
 例えば、レヴィ=ストロースにしても、特に、哲学系の思想だとは思えないし、穿っている味方かもしれないが、私的には、フーコーも哲学者という捕らえ方はしにくいと思う(フーコー構造主義というカテゴリーでもないようだが)。
 そのような事で、最近、哲学・思想なるジャンル自体の境界線が、自分自身の認識として「あいまい」になってきた感じがする。
 さて、ピアジェという人については、本書だけでは「さわり」だけしか分からないが、自然科学の手法において、心理学等の研究をするためには、研究手法として捨象した要素があるようだ、そのため、人間のような個体差が大きい対象についての研究では、物足りない部分があるようだ(そういう批判があるようだ)。
 しかしながら、複雑な対象に関しては、簡単なモデルを作成することが、理解や分析の、最初の一歩となることから考えれば、こういうアプローチも頷けるように思う。
 本書内で「構造主義者」に関する、ピアジェ氏の批判については参考になった。